「ねぇ、お父さん。狩りに行っちゃダメ?」
イーノックカウから帰ってきてから結構経ってるんだけど、僕、それから一度も森に狩りに行ってないんだ。
だからお父さんに、行ってもいい? って聞いてるんだけど……。
「何度も言ってるが、お兄ちゃんたちかお姉ちゃんたちと一緒ならいいぞ」
「一人じゃダメ? だって、お兄ちゃんもお姉ちゃんも、一緒に行ってくれないんだもん」
僕たち、結構長い間イーノックカウに行ってたでしょ?
だからお兄ちゃんたちもお姉ちゃんたちも、帰ってきてからはほとんど毎日お友達と狩りに出かけてるんだ。
それにね、狩りに行かない日だって村のお仕事だったり、お友達とのお約束があったりして僕と一緒に森まで行ってくれないんだよね。
「ダメだ。一人じゃ危ないだろ」
「大丈夫だよ。だって僕、探索魔法があるから魔物が近寄ってきたらすぐに解るもん」
だから僕、何とか一人で狩りに行ってもいいよってお父さんに許してほしかったんだけど、
「それでもダメだ。確かにルディーンの魔法はかなり広範囲まで調べる事ができるようだが、でも四六時中周りを見張れるわけじゃないんだろ?」
「それはそうだけど……」
でもね、一人だと何かあった時に危ないからって、お父さんは絶対ダメって言うんだ。
「グランリルの森ではな、俺やシーラでも魔物に不意を突かれると危ない場面があるんだぞ。」
「そうよ、ルディーン。そんな時、もし一人だけだったら大きなケガをしてしまうかもしれないのよ?」
お父さんやお母さんは僕より強いでしょ?
でもね、そんなお父さんたちだってグランリルの森にいる魔物相手だと、不意を突かれたら危ない目にあう事があるんだって。
だからお母さんも、僕一人で狩りに行くのはダメだよって。
「そうだ。森の入口辺りで薬草や果物を採ってくるって言うのはどう? それならお兄ちゃんやお姉ちゃんたちと一緒に行って、取り終わったら一人で帰ってくればいいでしょ?」
「え〜、そんなのつまんない」
お母さんの言ってる森の入口だと、いっつも村の人たちが出入りしてるから一角ウサギどころか普通の動物もいなんだよね。
だから行っても、ほんとに薬草や果物しか採れないんだもん。
それだったら森に行かなくたって、村の近くの草原だって薬草が採れるんだからおんなじじゃないか!
「だがなぁ、ルディーン一人で行かせるとなると、その辺りまでしか許可できないんだが」
僕がそんなのやだって言うと、お父さんもお母さんも困った顔になっちゃったんだよね。
だからやっぱり無理なのかなぁ? って考えたんだけど、
「あっ、そうだ! イーノックカウの森は? お父さん、前にあそこだったら一人で行ってもいいよって言ってたでしょ?」
ここで僕は、前にお父さんがイーノックカウの森ならいいよって言ったのを思い出したんだ。
でもね、それはちょっと難しいんじゃないかな? ってお父さんは言うんだよ。
「え〜、なんで? こないだはいいって言ったじゃないか!」
「ああ。イーノックカウの森はかなり奥地まで行かない限りそれほど強力な魔物もいないし、装備さえしっかりしていれば不意を突かれたとしても大丈夫だろうからな。だが、一人で行くのは無理だろ?」
あれ? 一人で狩りに行ってもいいんだよね? なのに一人で行くのは無理なの?
僕、お父さんが何言ってるのか解んなかったもんだから、頭をこてんって倒したんだよ。
そしたらさ、お母さんが教えてくれたんだ。
「お父さんはね、ルディーン一人じゃイーノックカウに行けないでしょ? って言っているのよ」
「え〜、行けるよ。だって僕、ジャンプの魔法を使えばあっという間にロルフさんちまで行けるんだもん」
どうやらお父さんは、僕一人じゃイーんぼっくカウまで行けないからダメって言いたかったらしいんだよ。
でもね、ジャンプの魔法を使えばすぐに行けるでしょ?
だから僕、一人でも大丈夫って言ったんだけど、
「確かに魔法を使えばあのロルフって言うお金持ちの家に行く事はできるだろう。だがな、ルディーン。そこからイーノックカウまでは、いつもあの家の人に送ってもらってるんじゃないか?」
「うん、そうだよ」
「だとしたらだ、ルディーンが森へ狩りに行きたいと言う理由だけで、あの家の人たちに面倒をかけるって事になるんじゃないのか?」
お父さんはロルフさんちの人たちのご迷惑になるから、ジャンプで行っちゃダメだって言うんだ。
「でもでも、ロルフさんもストールさんも、いつ来たっていいよって言ってたよ?」
「確かにそうかもしれないが、ルディーンは一度だけ狩りに行ければ満足なのか?」
「ううん。何度も行きたい」
「そうだろう? なら、そんなに何度も、あの家の人たちに面倒をかけてもいいと、ルディーンは思うのかい?」
そっか、ストールさんだってお仕事があるはずだもん。
僕が狩りに行きたいって言うたんびに街まで送ってって言ったら、困っちゃうよね。
「ストールさんたちが困るのはダメ!」
「そうだろ? だから、狩りをするためだけに魔法でイーノックカウに行くのはダメなんだって解ってくれるな?」
「うん。僕、狩りに行くのに、ジャンプでロルフさんとこ行くのはやめにするよ」
こんなわけで、僕はイーノックカウの森に行く事も出来なくなっちゃったんだよね。
でもなぁ、やっぱり狩りにはいきたいんだよ。
「じゃあさ、じゃあさ、草原は? 草原で狩りしちゃ、ダメ?」
「う〜ん、草原に関してはなぁ」
だからね、イーノックカウ当地の村、どっちの森もダメって言うのなら村の周りの草原ならいいでしょ? って聞いてみたんだ。
でもね、それもあんまりよくないみたい。
「ルディーンが狩りに行くと、動物を見つける魔法で近くの獲物を根こそぎ狩ってしまうからなぁ」
草原はね、まだ森に行けない子が狩りを覚える場所でもあるんだよね。
それに森と違って草原は食べる物があんまりないでしょ?
だから動物の数もそんなにいないんだよね。
なのに僕、前に一人で狩りに行った時にいっぱい獲りすぎちゃったもんだから、それ以来草原の狩りも行っちゃダメって言われてるんだ。
「ちょっとだけにするから、ねぇ、いいでしょ?」
「ほんとに少し狩るだけにできるか? 森と違って草原は歩きやすいから、少ししか狩らないとなると、あっという間に終わってしまうぞ?」
ホントに我慢できる? って聞かれるとなぁ。
お父さんの言う通り、草原って森ん中と違って根っことかないから歩きやすいんだよね。
それに今の僕はサブ職にレンジャーがついてるもんだから、草原だったらちょっと走りながら近づいても前みたいに動物に気付かれて逃げられるって事もほとんどなくなってるんだ。
だからお父さんの言う通り、1匹2匹の動物を狩るだけだと、多分1時間もしないうちに終わっちゃいそう。
「やっぱりやめとく」
「ああ、その方がいい。なに、お兄ちゃんたちが忙しいのもそれほど長くは続かないはずだ。そしたらまた、森に連れて行ってくれるさ」
今は帰ってきてそんなに経ってないからしょっちゅう狩りに行ってるけど、お兄ちゃんやお姉ちゃんのお友達だって他のご用事がある日もあるでしょ?
だからそのうち連れて行ってもらえるよだって。
でもなぁ、僕、早く狩りに行きたいんだよね。
う〜ん、なんかいい方法、無いかなぁ?
予定では3泊4日だったイーノックカウ旅行ですが、ポイズンフロッグや幻獣の騒動のおかげで予想以上のにっすがかかってしまいました。
そうなると当然そのしわ寄せが来るんですよね。そしてそのせいで、ルディーン君は森に行く事が出来なくなってしまいました。
なにせまだルディーン君と同じくらいの歳の子たちは森に行けませんから、パーティーを組んでくれる子が誰もいないので。
でもルディーン君は狩りが大好きだから、やっぱり1日でも早く狩りに行きたい。
さてさて、どうしたもんかねぇw